産経新聞
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散骨

散骨の認知度はこの20年ほどの間に大きく上昇しています。ですが、実際に行うとなると戸惑いを覚える人が多いのが現実でしょう。散骨に対する意識やその背景について紹介しながら、散骨の実態について説明しましょう。

散骨に対する意識と現状

日本で「散骨」という言葉が注目されたのは、1991年のことです。市民団体「葬送の自由をすすめる会」(現在はNPO法人)が「自然葬」と名づけて散骨の実施や生前予約を本格的に始めたことが大きな関心を呼びました。

会長だった安田睦彦さんは、かつての産経新聞の取材に「日本には、死んだら土になって自然に還るという伝統的な死生観があった。だれもが画一的に墓に葬られなければならないという考えはおかしいのでは」と指摘しました。

20年ほど前であったら、「散骨」という言葉を聞いても、なんのことだか分からなかった人が多かったでしょう。それが最近では、実際に実施する・しないはともかくとして、散骨に対する理解や希望はきわめて高いものになっています。

散骨に関する社会の意識変化を知ることができる統計としては、横浜市が2002年度と12年度に実施した意識調査があります。それによると、散骨について「自分はしたい(されたい)」と答えた人は02年度は10.6%だったのに対して、12年度には22.6%にまで増加しました。一方で、「理解できるがしたくない」は、02年度が51.8%だったのに対し、12年度には37.8%にまで減りました。

散骨にすいてどう思うか

国レベルの調査でも、散骨を容認する人の割合は、1990年(総理府=当時=調査)では2割だったものが、98年(厚生科学研究)には7割を超えています。

ほかの調査でも多くの人が散骨を肯定する数字となっています。第一生命経済研究所が「散骨についての考え」を尋ねた調査(2009年)では、「他人がするのはかまわない」、「自分の遺骨を全部撒いてもらいたい」、「自分の遺骨を一部だけ撒いてもらいたい」といった肯定・容認の選択肢を選んだ人は83.9%にもなりました。

散骨についての考え

楽天リサーチが14年に実施した調査で「自分の埋葬方法の希望」を聞いたものでは、「散骨」は2番目に多い16.6%。1位は「先祖代々の墓」(29.5%)、3位が「新しく用意する墓」で12.4%でした。

自身で希望する墓の方法

各種調査では高い認知を得ている散骨なのですが、実施率となると具体的な数字を示した統計は見当たりませんが、実施率は1%に満たないのではないかとみられています。散骨を考えたとしても、本人あるいは周囲が最終的に断念していることが考えられます。

象徴的なエピソードがあります。13年に亡くなった俳優の三國連太郎さんは、晩年、「戒名はいらない」、「散骨して誰にも知らせるな」と話していたのですが、散骨はされずに、墓に納骨されたようです。報道では、息子で俳優の佐藤浩市さんが、納骨を決断したと伝えられています。

この決断に対して、報道がされた当時のインターネット上では「親が散骨を希望しても、自分も同じように墓に入れると思う」といった賛同の書き込みが相次いだといいます。「私は親戚からなんと言われるか分からないし、父はあの世でご先祖様から『なんでおまえだけ墓に入らないのか』と怒られるだろう」といった書き込みもあったようです。

散骨の法律とトラブル

散骨は法律的には、合法でも違法でもない「グレーゾーン」、モラルの問題というのが現在の位置づけのようです。

散骨をサポートする業者の大半は、パンフレットやホームページで、「法務省が『葬送を目的とし節度を持って行う限り、遺骨遺棄にはあたらない』という非公式見解を述べたことが根拠になっている」と説明しています。なかには、「公式見解」と紹介している業者もあります。

この「見解」は、1991年に発足した「葬送の自由をすすめる会」が散骨について法務省に、刑法の遺骨遺棄罪(190条)との関係を問い合わせた際に、法務省が非公式に答えたものです。

『終活読本ソナエ』編集部(産経新聞)では、法務省刑事局に散骨について質問を投げてみました。その質問と回答は以下の通りです。

――散骨の根拠とされている法務省のコメントは有効なのか
法務省 把握している限りでは、そのような見解を出したことはない
――遺骨遺棄罪との関係でみたときに、散骨の違法性の有無についてどう考え、どう判断するか
法務省 散骨が犯罪として成立するかどうかは、捜査機関が収集した証拠に基づいて判断し、最終的には裁判所で決めることになる。(ここでは)具体的な証拠に触れられないので判断できない
――遺骨遺棄罪以外に何か関係する条項があるか? あれば何罪で、どう解釈されるか
法務省 可能性としてはいろいろあるかもしれないが、罪名をあげるのは差し控えたい。ほかの省庁で所管している法律もある


つまり法務省は、散骨についてなんらお墨付きを与えていないのです。かといって、現在実施されている散骨について、「違法」という強い認識を持っているわけでもありません。散骨はグレーゾーンなのです。

散骨の法的な位置づけを考えるうえでは、厚生労働省が所管する「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」との関連も出てきそうです。厚労省健康局に取材すると、「現在行われている散骨は、『遺族が故人の遺志を尊重して、公共の福祉に反しない形で、節度を持って行われている』と聞いている。だとすれば一般的には墓埋法とは関係ない」ということでした。墓埋法ができたのは1948年です。当時、散骨はまったく想定されていないませんでした。ただし、撒いた骨に土をかぶせると、骨は散骨ではなく埋蔵されたことになり墓埋法が適用されることになります。


遺骨が撒かれることへの忌避感から、散骨場をつくろうとした業者や団体と、地元住民との間でトラブルが発生することもあります。それによって、長沼町(北海道)、七飯町(北海道)、諏訪市(長野県)、岩見沢市(北海道)、秩父市(埼玉県)、御殿場市(静岡県)でも散骨を規制する条例が制定されています。

日本では散骨に関する規制だけでなく、撒き方に関するルールさえもなく、撒く側のモラルに任されているのが現状です。数は多くないですが、業者と地元との間でトラブルが起きていることもあり、国による統一基準を設ける必要性を指摘する声も出ています。

海洋散骨

散骨スタイルのなかでも、ここ数年で急速に増えているのが、クルーザーなどで沖に出て粉骨した遺骨を撒く海洋散骨です。

海洋散骨が急増している理由のひとつは、「自然へ還る」というイメージの良さです。陸地の散骨も同じですが、海洋散骨の場合、より「母なる自然」への回帰を感じさせます。

もうひとつの理由は「陸地での散骨のやりにくさ」です。業者が陸地で散骨場を整備する際、地域の人の理解を得られずに社会問題化し、自治体が散骨禁止条例をも制定するという出来事が各地で相次ぎました。そのため、陸地をあきらめて海での散骨サービスをする業者が増えてきたのです。

海洋散骨を大別すると、「遺族が船をチャーターする」、「複数の遺族が合同で乗る」、「遺族は同乗せずに委託を受けた業者が実施する」の3つのプランがあります。

値段はピンキリです。遺族の同乗はなく、完全に業者委託するのであれば3万円前後で済むこともあります。同乗者の人数を増やし、船上でのセレモニーを凝れば、それなりの費用が発生します。

船上では花を手向けるなど追悼の時間が設けられます。遺族の希望によって、音楽をかけたり、食事をしたりと自由にアレンジできることも多いようです。僧侶が同乗することもあります。