選ぶ前に知りたい7つのポイント

実際に永代供養墓の契約を考えたり、一般の墓と比較したりするときに、どのようなポイントを押さえたらいいのでしょう。お墓に詳しい専門家にも聞きながら、押さえるべき点をまとめてみました。

永代供養墓選びの7つのポイント

01 最大の特徴 「継承者不在でも供養され続ける」

【質問】 子供がいません。墓を継いでくれる人がいないので永代供養墓への納骨を考えています。永代供養墓は、一般の墓と比べてどのような特徴があるのでしょう。(60代男性)


永代供養墓の最大の特徴は、継承者に代わって寺や霊園が責任を持って継続的に供養や管理をしてくれる点です。

供養のスタイルは寺や霊園、永代供養墓の種類によります。盆や彼岸に法要をしてくれるところが多いようですが、毎日のお勤めのなかで永代供養墓に納骨された方々のための読経をする寺もあります。

他人の遺骨と一緒に納骨される合葬墓を生前契約した場合には、契約者同士の交流の場を通じて、親交が深まるケースもあります。「墓トモ」と呼ばれている関係です。血縁とは違う新たな縁が生まれるきっかけをつくる効果もあるようです。

注意しなければいけない点としては、ほかの遺骨と一緒に納骨されるため、納骨後、遺骨を取り戻そうとしてもできないことがあります。

親族が新たな家墓を建てようとしても納骨できません。

子供がいないからといって単純に永代供養墓を選ぶのではなく、親族の理解を深めたうえで、決めておくことが大切です。

一方、一般の墓では、継承者が弔いをすることになります。

継承者は、年間管理料の支払いが滞ると、「墓地の継承者がいなくなった」と判断され、墓を撤去・処分されることにもなりかねません。

大切な祖先の墓が無縁墓となり、その霊が無縁仏となってしまうのです。

お墓を建てる際には「永代使用料」を払いますが、これは墓を建て、使用する権利を得るための費用で、その土地を購入したわけではないので注意が必要です。

02 「永代供養」は契約上の観念、形態は多種多様

【質問】 永代供養墓ってどんな形態をしているのですか? (70代男性)


永代供養墓はさまざまな形態があって、ひとつにはくくれません。

運営する霊園や寺院によってもシステムが違う部分があります。

選択肢が多いので、自分のスタイルに合った埋葬方法を選ぶことができますが、よく考えないと失敗することにもなります。

ポイントは、「永代供養墓」という言葉は、「継承を前提としない墓」のことを指すもので、墓の形態を指してはいないという点です。契約上の観念といってもいいかもしれません。

一般的なのは、供養塔や供養碑、釈迦像や観音像などを建立し、他人の遺骨と一緒に納めるタイプです。

地下に骨壺を安置する納骨室が設けられているものや、骨壺から出して遺骨をそのまま、あるいは袋に移して納めるものがあります。

「合祀墓」「合葬墓」と呼ばれるタイプがこれにあたります。

屋内に遺骨を収容する「納骨堂」も永代供養墓として扱われていることが多いです。

比叡山延暦寺大霊園の「久遠墓」のように一般の墓と変わらない個別の墓を建立するタイプもあります。ここ数年、関心が高まっている「樹木葬」も永代供養墓の一形態といえそうです。

永代供養墓を選ぶ際はひとつだけ見て決めるようなことはせず、たくさんのお墓を見学したうえで判断したほうが良いでしょう。

永代供養墓の形態

03 遺骨の安置場が変わることも

【質問】 永代供養墓は本当に永代にわたって供養してもらえるものなのでしょうか。それは永遠なのですか? 期限があるならどれくらいですか。(70代女性)


「他人と遺骨を一緒にされたくない」と、同じ永代供養墓でも、合葬墓を敬遠され、単独墓や納骨堂を選ぶ方も多くいます。

しかし、ほとんどの永代供養墓は期間が経過すると、合葬したうえで供養をすることが一般的です。『永代』はイコール『永久』にその状態での供養が続くというわけではないのです。

永代供養墓といっても、個人墓や納骨堂などを選んだ場合には、個別に供養してもらえる期間が10年というところもあれば、50年というところも。

契約の際に期間を選べるところもあるようです。

多いのは、年忌法要を終える『弔い上げ』のタイミングに一致させた33年が多いようです。

もちろん、合葬墓に移されても、寺院や霊園は同じように継続1的に供養を続けてくれます。

遺骨の預かり期間

04 「宗派不問」といっても、供養は別

【質問】 子供がおらず、永代供養墓の契約をしようと思っています。納骨すると、その後はお寺が供養してくれると聞きました。どんな供養をしてくれるのですか? (80代女性)


永代供養墓に入った際の供養は、春秋2回のお彼岸、夏のお盆の時期に行われることが多く、これに正月の法要が加わったり、月1回~数回命日供養を行ったりするところもあります。寺によっては毎朝夕のお勤めのなかで供養してくれたり、名前や戒名を入れた位牌を仏壇に置いて供養してくれるところもあります。

永代供養墓の多くは「宗教や宗旨・宗派を問わない」といった条件をつけて募集しています。

けれども、供養はどうしているのでしょう。

寺院が運営する永代供養墓はもちろんですが、宗教や宗旨・宗派を問わない民営の霊園でも、仏教寺院が経営に関わっているところが多いです。

宗教や宗旨、宗派不問といっても、そこで行われる供養は霊園の経営主体である寺院の宗旨・宗派に沿ったかたちになります。

自分の宗教や宗旨・宗派にこだわりがある場合は、経営主体が信仰に合っているかどうかを事前にしっかり確認しておいたほうがいいようです。

戒名については、つけなくても(つけ直さなくても)いいところが多いです。

一方で、必ずつけるところや、寺の檀家として扱うところもあります。

公営霊園にある合葬墓では自治体が運営しているため、特定の宗教色が出ないようになっています。東京都立小平霊園(東村山市)の合葬墓では年1回、10月1日の「都民の日」に埋葬者に花を供える「献花式」が催されています。

公営、民営を問わず、永代供養墓には墓の継承者をたてない人が入るのだから、墓参りに来る人は少ないのではないかと考える人もいるかもしれません。

しかし、都心にある合葬タイプの永代供養墓を訪ねてみると、供養碑や供養塔の前にはまだ新しい花がたくさんそなえられていました。

「お墓参りにくる人がいないと思われがちですが、そんなことはないですよ。むしろ供花や線香がたえることはありません」とその寺の住職は話しています。墓の継承者がいなくても、故人をしのぶ人は多くいるのです。

05 「先祖代々之墓」からの引越しも可能

【質問】 2人の嫁が嫁いでしまい、家を継ぐ人がいなくなってしまいました。私には「先祖代々之墓」があるのですが、妻や先祖の遺骨も一緒に永代供養墓で供養してもらうことはできるのでしょうか?(70代男性)


可能です。その場合、いまある墓から永代供養墓への遺骨の引っ越し、つまり「改葬」が必要になります。改葬には定められた手続きをとる必要があります。

改葬の手続きは美墓ネットの「お墓の引越し・墓じまい」をご覧ください。先祖代々之墓を引越しする場合は、人数分の書類が必要になります。

先祖代々之墓の場合、関係する親戚も多いので、まずは親戚などと十分に話し合う必要があります。

最近は、先祖代々之墓が多く建っている墓地の中にも、永代供養墓が建てられることも多くなっています。そのような同じ墓地の中にある永代供養墓に引越をするなら、手続きも簡単です。

06 安いが、追加費用は要チェック

【質問】 料金はどれくらいを考えればいいのですか?(70代男性)


様々な種類がある永代供養墓ですが、料金(永代使用料)はどの程度かかるのでしょう。

草川さんによると、他の人の遺骨と同じ場所に納める合葬墓の場合は10万円程度。骨壷に入れたまま安置する納骨堂なら50万円程度。樹木葬の場合には20万~30万程度。一般的なお墓と同じ個人墓のお形態では50万~200万円が目安だといいます。それぞれ、別に年間管理費がかかる場合があります。

ただ、これはあくまでも目安で、例えば、都心の駅に近い納骨堂であれば、150万~200万円します。

「永代使用料」以外に、個人墓を建てる場合の墓石代や開眼供養料、プレートの刻印代、檀家になる場合は入壇料が別途かかる場合があります。また、先祖代々之墓を引越すなどの場合には、人数分の費用がかかります。

07 家族で生前予約をしても大丈夫

【質問】 息子が独身のため、墓を買って継承者になってもらっても、その後を継いでくれる人がいません。親子や夫婦など、いま暮らしている家族と入ることはできますか?(80代女性)


以前は、個人用、2人用、の永代供養墓というのが一般的でした。

最近では、数は多くないですが、3人以上で入れるタイプを売り出している霊園や寺院も出てきています。

その場合、同じ墓に入ろうとする人が一緒に生前予約することになります。

お寺や霊園の仕組みにもよりますが、一緒に生前予約しないと、遺骨を納める場所がバラバラになってしまうケースもありますので、ご注意ください。

また、後から一緒に入るのをやめる場合には、お金がどうなるのかも確認しておくといいでしょう。

家族だけではなくて、親しい仲間と入ることも不可能ではありません。

生前予約の時期を同じにして、仲間でまとまったスペースを確保するといった方法も考えられます。