墓石に使われる石材には、様々な種類があります。石材によって、色や表情、そして、強度、吸水性といった品質に違いがあって、長持ちする石材は価格も高くなります。
墓石に使われる石材(岩石)は、耐久性に優れる(鉱物結晶が緻密で硬い)花こう岩やせん緑岩、はんれい岩、安山岩などの火成岩がほとんどです。
一般的に花こう岩のことを「みかげ石」と呼ぶこともありますが、これは兵庫県神戸市の荒神山で採掘されていた「本御影石」が全国に知れ渡り、その名称が花こう岩の総称として使われるようになったからです。また「黒みかげ」も正確には花こう岩ではなく、せん緑岩やはんれい岩に属します。
石材はその産出地にちなんだ名称(商品名)があるほか、採掘業者や輸入業者などが名づけた名称でも流通しています。
主な国産材では、宮城産「伊達冠石」「磐梯みかげ」、福島産「浮金石」「滝根みかげ」「深山ふぶき」、茨城産「稲田石」「羽黒青糠目石」「真壁石」、神奈川産「本小松石」、愛知産「足助みかげ」「牛岩青石」「宇寿石」、岡山産「北木石」「万成石」、香川産「庵治石」、愛媛産「大島石」、佐賀産「天山石」などがあります。国内では茨城・岡崎(愛知県)・庵治(香川県)が石材の三大産地として知られています。
墓石は戦後の経済成長期に需要が急増したことで、当初は海外から原石を輸入し国内(産地や自社工場など)で加工していましたが、最近は海外で加工した石製品が輸入されています。
国別では中国産が最も多く、次いでインドと続きます。
また中国は「世界の工場」としてGDP世界第2位の経済大国となりましたが、さまざまな石製品や建築石材も同様に、世界中の石材が中国で加工されています。中国最大の石材産地が福建省で、他に山東省や黒龍江省、湖北省などにも大きな石材工場が集中しています。
岩石の種類
石材は、私たちの生活に欠かせない、身近な天然素材(材料)です。墓地や神社仏閣では墓石や石碑、灯籠、鳥居、手水鉢、石仏、狛犬など、建築関係では古くはお城の石垣や石段、石橋、道標、石蔵など、近代ではビルや住宅の各種建材(内外装)や門柱、石塀、テーブル、ベンチなどがあり、あるいは彫刻やモニュメントといった美術品のほか、表札や花器、石臼などの工芸品にも使われています。
岩石を成因別に分類すると、火成活動によって高温のマグマが冷え固まってできた「火成岩」、地表の岩石が風、流水等の浸食作用を受け堆積してできた「堆積岩」、そして地下深部の火成岩や堆積岩が熱や圧力の影響を受けてできた「変成岩」の3つに分類されます。
採石法では、火成岩10種(花こう岩、せん緑岩、はんれい岩、かんらん岩、安山岩、玄武岩など)、堆積岩5種(れき岩、砂岩、粘板岩、凝灰岩など)、変成岩3種(じゃ紋岩、結晶片岩など)、鉱物等6種(けいそう土、陶石、雲母など)を合わせた24種の岩石を対象としています。
ちなみに、岩石と同類の鉱物は鉱業法で、砂利は砂利採取法でそれぞれ定義されています。