2014.12.12
「経堂 ゆいの御廟」は小田急線「経堂駅」「豪徳寺駅」、世田谷線「山下駅」から徒歩6分ほどの納骨堂。ペットの納骨も可能です。大切にかわいがっていたペットを亡くし、一緒のお墓に入りたいと考える人は少なくありませんが、そんな想いをかなえてくれます。
経堂駅を降り、豪徳寺駅方向に向かうと高架沿いに遊歩道があります。車の往来がない緑豊かな道が途絶えたあたりで、白を基調にした真新しい建物が目にとまります。2014年5月にオープンした地上4階建て地下1階建ての施設は閑静な住宅街に溶け込んでいます。
入り口を入ると、リゾートホテルのロビーのような雰囲気のエントランスホールがあります。参拝室は2階と地下1階にあり、それぞれ参拝ブースが5つ、墓前での法要ができる特別参拝室が1室設けられています。地下1階には永代合葬墓を設けており、承継者が途絶えても永代にわたって遺骨を護っていただけます。
搬送式の納骨堂で、お参りする際には参拝室の手前にある受付機にカードをかざします。すると遺骨の入った厨子(ずし)が参拝ブースの墓前に搬送され、金色を基調としたグラデーションの扉が開いて、お墓が現れます。それぞれのブースにはイスも用意され、ゆっくりと故人やご先祖様とのひとときを過ごすことができます。
法要を行う施設も充実しています。参拝ブースがある地下1階、地上2階には最大20人収容の法要室と、会食ができる客殿が設けられています。コンパクトな設計で、少人数での法要に利用しやすそうです。
葬儀は4階の「ゆいのホール」を利用できます。このホールは、日本人の心の原風景である「里山」をイメージして植栽されています。葬儀後の会食の場所として3階に客殿を設けていてます。24席の西客殿、36席の東客殿があり、両方をつなぐと最大で60人が食事をすることも可能です。
施設全体が白色を基調にし、明るい雰囲気が広がっています。
設計については、運営する成勝寺の坊守(住職夫人)の「暗くならず、明るく快適にお墓参りができるようにしたい」というこだわりが形になったといいます。確かに女性らしい気配りが随所に感じられる造りになっています。
冒頭でも紹介したように、この納骨堂の最大の特徴はペットと一緒に入れることです。
人間と動物の寿命をみると、飼い主より先にペットが死ぬの方が一般的です。ここでは将来、飼い主や家族も一緒に納骨するという条件を守れば、先にペットを納骨することも可能です。
成勝寺は、崇徳天皇の御願寺として1139年に京都で創建されました。その後、江戸に移転。昭和初期に現在に地に移った歴史ある寺院です。これまでペットの供養は行っていませんでしたが、納骨堂のオープンをきっかけに門戸を開きました。「ペットを飼っている人はペットに家族同様か、それ以上の愛情を注いでいる。一緒に納骨をすることで、家族の会話の場となり、家族のつながりを確認してほしい」との思いからだったといいます。
販売を担当するはせがわ経堂営業所の栗栖俊介所長によると、「相談に訪れる人でペットを飼っている人は2割ほど。ペットを飼っていない人もペットを納骨することに拒否反応はあまり示さない」そうです。
ゆいの御廟を契約するに当たって、寺院では一つの条件を設けています。
納骨の際には、必ず宗教者による立ち会いのもと法要や儀式を執り行う、というものです。施設は宗教・宗派は不問。在来仏教だけでなく、神道やキリスト教、無宗教でも受け入れており、立ち会う宗教者の宗派・宗旨は問いません。
納骨の法要にこだわるのは、宗教者を立てず、葬儀や供養を簡素に済ませようとする傾向があるためです。「仏の教えを伝えるのが寺院の役割。法要は仏の教えを説く大切な機会であり、ないがしろにはできない。宗教・宗派にこだわらず、節目となる納骨の法要や儀式を行うことで、『お墓にお骨を納める』ことの意味を考えてほしい」と寺院では説いています。
(石垣良幸)