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【お墓トレンドレビュー 納骨堂その2】ニーズに合わせ多様なタイプが登場

2016.10.14

変遷する納骨堂の形態

東京都新宿区にある「新宿御苑前聖陵」の自動搬送式納骨堂

 昔、納骨堂といえば、大きな棚に位牌や骨壺を並べ集合安置する「棚型」や、ロッカーに個別安置する「ロッカー型」が中心でした。いずれもお参り用のご本尊が設けてある場合と、お骨に向かって直接お参りする場合とがあります。

 しかし、高度経済成長期以降、骨壺の上に仏壇を配置する「仏壇型」や、室内に小さな墓石を配置した室内霊園ともいうべき「墓石型」などが登場。一時安置的な簡易なものから、永続安置を意識したつくりのものが増えてきました。

 さらに、近年では遺骨を納めた厨子などを礼拝室に呼び出してお参りする「自動搬送型」や、光の演出を組み込んだ「光演出型」とでもいうべき納骨堂も登場しています。

 いずれも、利用者は専用のICカードを使って、「仕掛け」を稼働させる仕組みです。これらについては、近年のトレンドとして、「お墓トレンドレビュー 納骨堂その3」で詳しく紹介します。

お寺のなかでも多様な納骨堂が

 納骨堂の形態については、歴史的経緯から、ある程度順を追って登場してきた感があるのですが、ひとつのお寺で、その多くを提供しているケースも珍しくなくなってきました。

 具体的例として、横浜市鶴見区にある福壽山妙信寺を見てみましょう。

 このお寺では、個別安置型(ロッカー式)、集合安置型(棚式)、仏壇式安置型のすべてを準備しています。ロッカー式の個別壇は、『宝珠』と『知恩』という2つに分かれており、骨壺を故人別に分けて納骨し供養します。

 『宝珠』は、位牌と遺骨を一緒に安置するため、直接個別壇の前でお参りができ、『知恩』は、位牌は「知恩礼拝堂」という三体の観音様が祀られている場所に安置するため、そこでお参りするようになっています。いずれも、個人用(1人用)、夫婦用(2人用)、家族用(4人用)の3種類があります。

 棚式では遺骨の一部を2寸の骨壺に移し、その骨壺を専用の木箱に位牌と納め「観音位牌壇」という棚に14年間安置して供養しています。棚の前でお参りすることも可能ですが、この観音位牌壇の前でお参りすることもできます。残りの遺骨は『観音廟』という場所に骨壺から出して合祀します。また、安置してから14年後には、やはり合祀して永代供養をするかたちです。

 仏壇式では上段に位牌を安置して下段に遺骨を納めるようになっています。

 1階の『妙光』は、漆塗りの落ち着いた納骨壇、2階の『三賓』は金箔を散りばめた華麗な納骨壇で、ともに記念品や写真などを納めることもでき、骨壺は6個まで収納可能ですが、これは檀家だけがご利用にできる納骨壇となっています。

 このように、「経営」に優れたお寺では、納骨堂にきめ細かなバリエーションを持たせ、さまざまな希望・ニーズに対応できるように工夫していることがわかります。

上野國光氏

    ◇
 うえの・くにみつ 1956年生まれ。大学を卒業後、電機メーカー勤務などを経て、88年にイオ株式会社を設立、石のギャラリーを中心とした業務を展開す る。東京都内を中心に大規模墓地や納骨堂の開発、寺院の活性化のプログラム(寺報発行サポート、墓地管理業務)などの事業に携わっている。


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