2016.10.13
ここで、一般的な永代供養墓の事例をひとつ見てみましょう。
神奈川県厚木市にあるメモリアルパーク花の郷墓苑厚木宮の里は2008年オープンしたガーデニング公園墓地ですが、敷地内に永代供養塔『天翔の郷』を設けています。
負担する費用によって期間を選ぶことができ、骨壺に入れず、最初から納骨堂に合祀する場合は25万円、十三回忌まで12年間骨壺に安置して、その後合祀する場合は35万円、三十三回忌まで32年間骨壺に安置して、その後合祀する場合は50万円となっています。
永代供養墓は費用的には、初期費用が5万円のものから100万円近いものまであります。初期費用さえ払えば、その後の費用は不要なものが大半ですが、年会費や檀家としての門信徒会費が必要になる場合もあります。
東京・多摩地区のある寺院では、初期費用は10万円ですが、門信徒会費として年1万2000円が必要となります。ただ、ここは事前に合祀する時期を決めておらず、骨壺による収納が満杯になったら合祀するとのことでした。
永代供養墓には、さまざまなバリエーションがあります。
合葬墓は、すべて永代供養墓ですし、樹木葬墓地も合葬式のものは、永代供養墓になります。納骨堂の大半も永代供養墓です。また、ニチリョクによる「堂内陵墓」も、承継者がいなくなった場合は、合葬墓に移して永代供養する「永代供養付き」だそうですから、永代供養墓ではなくても「永代供養墓付」です。
永代供養墓には、比叡山延暦寺大霊園にある「久遠墓」のように従来の墓と変わらない個別墓形式や、石碑や石塔をひとつの区画に並べた集合墓形式もあります。
しかし、最も一般的な形態は、地下に骨壺を安置する納骨室をつくり、その上に像・塔・碑などを建立したものでしょう。
それにはユニークなものも多く、世界一の高さ(120m)の牛久大仏(茨城県)もそのひとつです。宗旨・宗派不問の霊園では、宗教的なシンボルではないモニュメントを建てていることもあります。公営霊園の合葬墓の場合も、モニュメントがよく見受けられます。
こうした永代供養墓は、現在、全国にどのくらいあるかは正確には把握できません。お寺や霊園に併設していても、あまり宣伝していないケースもあるようで、そうしたものを含めると、おそらく1000は越えているのではないでしょうか。
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上野國光(うえの・くにみつ) 1956年生まれ。大学を卒業後、電機メーカー勤務などを経て、88年にイオ株式会社を設立、石のギャラリーを中心とした業務を展開する。東京都内を中心に大規模墓地や納骨堂の開発、寺院の活性化のプログラム(寺報発行サポート、墓地管理業務)などの事業に携わっている。