2016.10.13
近年、少子高齢化の進行で、お墓を承継する人(承継者)がいないなどの理由から、生前から永代供養墓を希望する人が増えています。承継者がいる場合でも、遠路の墓参りで遺された人に負担・迷惑をかけたくない、先々無縁になることは避けたいといった理由で、永代供養墓を求める人もいます。従来のお墓より安く利用できるのも増加の大きな理由といえます。
永代供養墓という場合、個人や家族単位で個別に墓石を建てず、血縁のない人、知らない人同士の遺骨をまとめて埋葬する合葬墓・合祀墓と同じ意味で使われるケースが多いようです。合葬墓と合祀墓は、ほぼ同じ意味ですが、合祀墓と言った場合は宗教的なニュアンスが強いため、公営霊園では使われず、たいてい合葬墓という言い方になっています(以下、合葬墓で統一します)。
ただ、永代供養墓は、必ずしも合葬墓とは限りません。
従来のお墓を、そのまま永代供養してもらうケースがあるからです。後で紹介しますが、日本での永代供養墓が広がるきっかけとなったのは、必ずしも合葬墓からではないようで、霊園のなかに永代供養墓専用エリアを設けたことだったそうです。
永代供養墓について紹介する前に、まず、そもそも「永代供養」とは何かを確認しておきたいと思います。
供養とは、仏や菩薩などに香・花・灯明・飲食などの供物をささげることで、永代供養は、そうした行為を「永代」にわたって行うことといえます。
しかし、ここで言う「永代」とは、イコール永久ではなく、通常は数世代にわたる比較的長期の年月をかけて、死者を供養することを意味しています。
これは、おそらく、「弔い上げ」と関係しています。通常は十七回忌か三十三回忌で「弔い上げ」といって終わりにします。五十回忌や百回忌では、個人を直接知る人がいなくなるためです。
日本では、その後、故人の霊魂は集合霊となり「ご先祖さま」の仲間入りをするという考え方もあります。
そこで、永代にわたり供養するといってもこれに準じ、最初は個別に骨壺を分けて埋葬・供養しても、十三回忌まで、三十三回忌までと一定期間で区切り、その後は、遺骨を骨壺から出して合葬するという方法を採るケースが主流です。
いまや最初から合葬するケースや、文字通り永代に骨壺で安置するというところもあり、一概には言えませんが、負担する費用により期間を選べるケースもよく見受けられます。
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上野國光(うえの・くにみつ) 1956年生まれ。大学を卒業後、電機メーカー勤務などを経て、88年にイオ株式会社を設立、石のギャラリーを中心とした業務を展開する。東京都内を中心に大規模墓地や納骨堂の開発、寺院の活性化のプログラム(寺報発行サポート、墓地管理業務)などの事業に携わっている。