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【お墓トレンドレビュー 永代供養墓その2】広がる「寺友」「墓友」の輪

2016.10.13

80年代から注目が集まる

 永代供養墓が注目されたのは、1985年に滋賀県大津市の比叡山延暦寺大霊園にできた「久遠墓」がきっかけだったようです。ここは、天台宗総本山である延暦寺が、個別に墓石を建てる従来のお墓のまま、永代供養墓専用エリアを1830基分も設けたのです。

 それ以前にも永代供養墓がなかったわけではありませんが、合祀の永代供養墓は従来、お寺に設けられていた無縁塔と、ある意味、機能的にも、イメージ的にも、相通ずるものがありました。そのため、見た目も地味で似ていて必ずしも良いイメージはありませんでした。

 しかし、永代供養墓が注目されるのに伴って、質が高く、管理・運営態勢が整ったものが登場してきました。

個別の墓から合祀墓へ

 89年にできた新潟県妙光寺の「安穏廟」も、そのひとつでしょう。ここでは、円形古墳をイメージさせる陵の壁面に、個別の区画を設けたスタイルをとっています。また、寺院が経営しながら檀家制度を見直し、宗派を問わず門戸を広げ、安穏会という会員による会費制度を導入して運営しています。

 この段階では、合祀といっても個別区画を残したものでしたが、その後、遺骨をまとめるタイプの合葬墓も登場します。

 すがも平和霊苑(東京都豊島区)内に90年に開設された「もやいの碑」です。ここは、遺骨の一部を小さな専用骨壺で安置し、残りを骨袋に入れて合祀する分骨方式を採用しています。

広がるコミュニティーの輪

 興味深いのは、同じ合葬墓に入るということをきっかけに、生前に仲間作りをする動きもあることです。「もやいの碑」では、寺や霊園から独立した「もやいの会」が発足。お墓を中心としたコミュニティーの輪が広がっています。東京・四谷の東長寺では、会員組織への入会が永代供養の条件になっていますが、会ではさまざまなサークル活動を行っておいます。

 こうしたコミュニティーは最近、「墓友」「寺友」と呼ばれ、地縁・血縁を越えた「墓縁」が生まれています。

上野國光氏

         ◇
 上野國光(うえの・くにみつ) 1956年生まれ。大学を卒業後、電機メーカー勤務などを経て、88年にイオ株式会社を設立、石のギャラリーを中心とした業務を展開する。東京都内を中心に大規模墓地や納骨堂の開発、寺院の活性化のプログラム(寺報発行サポート、墓地管理業務)などの事業に携わっている。


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