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【空想相続相談3】夫が外でつくった子供にはびた一文、財産は渡したくありません!

2016.10.06

 「空想相続相談」の第3回目。今回の相談者は〝宇宙人〟だ。「宇宙人に日本の民法が適用されるのか」といった細かいツッコミはこの際なし。今回の相談者は、婚外子のことで悩んでいるようで……。             (取材協力・東京新宿法律事務所)

 先日亡くなった夫が死の床で、よその女との間に子供をつくっていたことを白状しました。夫は宇宙警備隊の大隊長を務めていて、「ウルトラの父」などと呼ばれていました。仕事柄家を空けることが多く、仕事の立ち寄り先で知り合った女との過ちだったようです。「認知もしている」と言っていました。

 1人息子のタロウは宇宙科学警備隊ZATで東光太郎として働います。夫は息子のことが心配で、「日本で生活できるように」と戸籍をつくっておりました。かく言う私も、日本で戸籍をつくり「緑のおばさん」をしながら息子を見守っています。

 夫の部下たちは「ウルトラ兄弟」などと呼ばれていますが、実子はタロウだけです。なので、わが家の全財産はタロウに相続してほしいと願っていました。それなのに……。

 夫は怪獣や宇宙人と戦う危険な仕事をしていましたので、「遺言を書いてほしい」と頼んでいたのですが、ついに書くことはありませんでした。夫の財産の一部でも、そんな見ず知らずの女との間にできた子供に行くなんて許せません! その子供に相続させない方法はないのでしょうか?
(相談者 M78星雲光の国出身、ウルトラの母)

(図1)遺産相続の流れ(遺言のない場合)

 法律的な結婚をしていない女性との間に生まれ、認知された子供を「婚外子」という。ウルトラの父はなんで婚外子の存在をウルトラの母に告白したのか――。その真意は不明だが、遺産相続になれば、この婚外子の存在は確実にバレる。

 なぜかというと、理由は戸籍の仕組みにある。面白いもので、戸籍をつくりかえると、かつての認知や養子縁組などの情報は引き継がれない。そのため、現在の戸籍が〝きれい〟だからといって、ほかに子供がいないことの証明にはならない。

 しかし、相続では(図1)の流れにある「相続人の確定」のときに、被相続人(死亡者)の出生から死亡までのすべての戸籍を集める必要がある。このため、それまで隠していたことが明るみになってしまうのだ。きっとウルトラの父もこの事実を知っていたので、過去の〝悪行〟を自白したのだろう。想像だが。

 さて、婚外子の法定相続分はかつて実子の2分の1だった。それが2014年に民法が改正され、実子との差がなくなった。そのため、婚外子はウルトラの父の遺産をタロウと同額受け取る権利がある。こうなると、ウルトラの母としては面白くないのも分からないではない。

 で、ウルトラの母の相談なのだが、その希望に応える方法について、東京新宿法律事務所の齋藤伸介弁護士は「一番の方法は、婚外子に相続放棄してもらうことです」と話す。しかし、「普通、婚外子があっさり相続放棄するとは考えられません」とも。

 婚外子を無視して遺産の分割はできない。遺言がなければ遺産分割には分割協議書を作成しなければならないのだが、これには相続人全員の署名・押印が必要になる。

 これがポイントで、齋藤弁護士は「銀行から被相続人の預金を引き出すときも、被相続人の不動産の名義を書き換えるときも、遺産分割協議書と被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍の提出を求められます。そのときに婚外子の存在がバレ、分割協議書にその婚外子の署名・押印がなければ預金は下ろせなくなるでしょうね」と話す。

 ウルトラの父のように、すでに亡くなってしまえばどうしようもないが、存命中ならば理論上は婚外子に遺産を渡さずにすむようにする方法はある。婚外子の存在を無視した公正証書遺言を書かせ、婚外子を完全に無視して遺産を分けてしまえばよい。

 同じ遺言でも、自筆証書遺言は家庭裁判所の検認のとき相続人全員の戸籍謄本を提出する必要があり、これに基づいて家庭裁判所から全相続人に連絡がいくため、婚外子にも相続の発生が知られることになる。これに対して、公正証書遺言があれば、遺産分割協議書をつくる必要も、検認を受ける必要もない。このため、婚外子を無視して遺産を分けることが可能となる。

 ただ、これはあくまでも理論上のお話。婚外子にバレたら遺留分減殺請求をされる。そして、バレずに逃げ切るのは難しいだろう。

 ウルトラの母の相談の場合、婚外子の遺留分はウルトラの父の遺産の4分の1になる。少なくない割合だが、渡すものは渡したほうが得策のようだ。

                 ◇

 「空想相続相談」はとりあえずこれで終わり。こんな企画に協力してくれた東京新宿法律事務所さん、ありがとうございました。



取材協力:弁護士法人東京新宿法律事務所 https://www.shinjuku-law.jp/

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電話:0120-500-700(月曜~土曜日 9:00~21:00)


         
  • (図1)遺産相続の流れ(遺言のない場合)
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