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【空想相続相談2】わしの全財産はかわいい内孫に遺してやりたいんじゃ

2016.10.06

 「空想法律相談」第2回のテーマは遺言と遺贈。遺言でできることと注意点解説する。このテーマに関わる相談者はこの人――。
(取材協力・東京新宿法律事務所)

 わしもそろそろお迎えが来そうじゃと思ったら、いてもたってもいられなくなったんじゃ。というのも、わしの財産のことなんじゃよ。たいした額ではないが、わしの財産は死んだあと、かわいい内孫2人に遺してやりたいんじゃ。一緒に住んでいる息子はいいかげんな男じゃし、離れている息子もすっかり疎遠でのう。

 しかし、遺産相続の本を読んだら、なんと! 孫には財産は遺せないと書いてあったんじゃ。どうにかしてかわいいさきことももこに遺してやることはできんじゃろうか。
(相談者 静岡県、無職、さくら友蔵)

(図1)さくら家の家系図

(図2)遺言の法的効力が認められる主なもの

 友蔵が本で読んだとおり、孫には原則相続権がない。相続権は配偶者が優先され、配偶者プラス子供(第1順位)、第1順位がいないと親(第2順位)、第1順位、第2順位がいないときょうだい(第3順位)の順番になる。孫に相続権が移るのは、子供が死亡していた場合になる。これを代襲相続という。

 さくら家の家系図は(図1)のとおり。ひろし死亡していたら、ひろしの相続権はさきことまるこに移るが、存命中なので友蔵の遺産を相続できるのはこたけとひろし兄弟のみになる。

 じゃあ、友蔵の希望はかなわないの? 東京新宿法律事務所の齋藤康介弁護士は「そんんなことはありません。遺言による遺贈という手があります」とアドバイスする。

 遺言でできることは多い。まとめたものが(図2)になる。遺言は相続におけるオールマイティーでジョーカーのような存在。齋藤弁護士も「相続問題の解決策は遺言に尽きます。これが常に正しい回答です」と太鼓判を押す。

 遺言は主に2種類。自筆証書遺言と公正証書遺言だ。自筆証書遺言は全文自筆で日付・署名・押印が必要。筆記具や用紙に決まりはなく、極端な話、チラシの裏に鉛筆で書いても、要件さえ満たしていれば有効になる。

(図3)遺産相続の流れ(遺言のある場合)

 こう説明すると一見手軽で簡単そうにみえるが、実はすごく面倒。たとえば「自宅を○○に相続させる」と書いた場合、自宅って「土地+建物」のことか、「土地だけ」なのか、「建物だけ」なのかがはっきりしない。こんな書き方をしたら確実にもめ、なんのために遺言を書いたのか分からなくなる。

 また、開封手続きも大変。遺言がある場合の流れは(図3)だが、ここに出てくる遺言の確認「検認」が面倒。家庭裁判所に検認を申し立ててから、実際に検認が行われるまでは早くて2週間、遅ければ1カ月はかかるとされる。この間、遺言の内容を知ることはできない。

 その点、公正証書遺言は検認の必要はなし。法律実務に精通した公証人が書いてくれるので、何を誰に相続させたいか、遺贈したいかなどを明確に書いてくれ、後々のもめごとを回避できる。ただし、公正証書遺言は作成にお金がかかる。

 齋藤弁護士も公正証書遺言がいち押し。「私も依頼人には絶対公正証書遺言を勧めます。公証人にもよりますが、公正証書遺言をつくるときは通常、認知症などで判断能力を失っていないかもチェックされますので、あとになって遺言の有効性が争われるリスクも少ないです。基本的に自筆証書遺言を書いてもらうのは、依頼者の体調が悪くて公正証書遺言の作成が間に合わない可能性がある場合に暫定的に作成するときだけです」。

(図4)法定相続分と遺留分の例

 というわけで、友蔵が死後、さきことまるこに財産を遺してやりたいと思ったら、遺言を書けば解決。しかし、遺言さえあれば、ひろしにびた一文渡さずにすむかといえば、さにあらず。「遺留分」というものがある。

 法定相続人には「被相続人の意思とは無関係に当然もらえる割合」というのが法律で決まっている(図4)。これが遺留分。そして、この遺留分よりも取り分が少なかった法定相続人は、多くもらった人に「当然もらえる分をよこせ」と請求できる。これを遺留分減殺請求という。ちなみに、被相続人のきょうだいには遺留分はない。

 上記のとおり、友蔵がさきことまるこに全財産を遺贈してしまったら、こたけ、ひろしとその兄弟は、まることさきこに「遺留分をよこせ」と請求することができる。一族でもめる原因になるので、遺言を書く前によく話し合っておくか、遺贈は遺留分を侵害しないようにしたほうがいい。

 また、法定相続人以外への遺贈の場合、相続税は法定相続人よりも2割増しになるので、ご注意を。



取材協力:弁護士法人東京新宿法律事務所 https://www.shinjuku-law.jp/

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電話:0120-500-700(月曜~土曜日 9:00~21:00)

         
  • (図1)さくら家の家系図
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  • (図2)遺言の法的効力が認められる主なもの
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  • (図3)遺産相続の流れ(遺言のある場合)
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  • (図4)法定相続分と遺留分の例
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