2018.11.05
【ポイント】
夫が亡くなって、自宅の土地建物を妻が相続しなかった場合でも、妻は6ヵ月間は夫と暮らした家に住み続けることができるという「配偶者短期居住権」が設定されました。
【ダメだったの?】
なんと現在の法律では、夫が亡くなって、自宅の土地建物を子が相続したような場合、妻の居住権は認められていないのです。
実際には現在でも判例により、夫が亡くなってからから少なくとも遺産分割終了までの間は、妻は夫の家を無償で使用できるという合意が夫婦の間にあったと推定できるとされており、夫が亡くなって妻がすぐに家を追い出されるということは、まずありません。
ただし、遺言で夫が住宅を第三者に遺贈した場合など、その合意が推定できないことも想定されることから、妻の生活を保護するため、この権利が創設されました。
【いつまで住める?】
配偶者短期居住権は夫が死亡した時点で、自然発生します。つまり遺言などに関係なく、また特別な手続きもなしに、夫と暮らした家にそのまま住み続けることができます。
ただし、それには期限があります。原則として遺産分割によりその住宅を誰が相続するかが確定した日、または夫が亡くなってから6カ月が経過する日のいずれか遅い日までです。
また配偶者短期居住権で使用できる部分は、住宅の居住部分に限られます。仮に夫が2階建ての建物の1階部分を店舗に使い、2階部分で生活していた場合、妻が配偶者短期居住権で居住できるのは2階部分だけになります。
いずれにしても、夫が亡くなって、妻が家から出て行かなければならないというのは、非常に残念な状況といえますね。
(文 児玉浩子)