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変わる相続 10のポイント 【ココが変わる1】 所有権なくても自宅に住み続けられる

2018.11.05

妻は家全体を相続するより「お得」な場合も

ⓒ小林弥生

 
 相続に関する規定を約40年ぶりに見直した改正民法などの相続関連法が7月6日に成立した。のこされた配偶者の居住権を明記したり、亡くなった義父を介護していた嫁に報いる制度が創設されたりと、とくに主婦の保護を手厚くした。今後、2020年7月12日までに順次施行される。改正のポイントを想定事例とともに10項目にまとめた。損をしないよう今のうちに頭に入れておこう。(文・児玉浩子)


 【ポイント】
 夫が亡くなったあと、夫と暮らしていた自宅の所有権が子供らに移った場合でも、妻は自分が亡くなるまで、その家に無償で住み続けることができるという「配偶者居住権」が明記されました。

 【どういうこと?】
 現在でも妻は、夫名義の自宅を相続することによって、夫婦で暮らしていた家で生活を続けることができます。ところが、不動産の評価額は高額である場合が多いため、遺産分割で住宅以外の財産を取得できないことが往々にしてありました。そうすると結局、生活を維持するために住宅を手放さざるを得なくなることもありました。
そこで、妻が夫名義の住宅で生活を続けられるように、配偶者居住権が創設されました。
配偶者居住権は所有権より財産的評価額は低くなります。そこで、たとえば住宅の所有権を子供に相続させ、妻には配偶者居住権を取得させることにより、妻の住居を確保しつつ、妻に現金などの他の財産も相続させることができるようになるわけです。

 【注意】 遺言を書いておこう
配偶者居住権は、何もせずに保障されている権利ではありません。配偶者居住権を発生させるためには、遺言書によって妻に遺贈するなどの方法で、あらかじめ妻に配偶者居住権を贈与することを定めておく必要があります。
もちろん妻は、相続人同士の話し合いによっても配偶者居住権を取得することはできますが、配偶者居住権が付いた(すなわち故人の妻が引き続き住み続ける可能性の高い)住宅を購入する人はまずいません。そのため、遺産分割をめぐって遺族が争っているような協議の場で、他の相続人が配偶者居住権を妻に認めるとは考えにくいと思われます。そこで、後日の遺産分割協議での紛争を避けるためにも、夫は遺言書などにより、自分名義の住宅の配偶者居住権を妻が得られるように定めておくことが有効だといえます。

【いつまで生活できる?】
配偶者居住権は、原則として終身有効です。つまりとくに取り決めがない限り、妻が生きている間はそのまま暮らし続けることができます。ただし遺言や遺産分割の取り決めによって、より短期間とすることもできます。たとえば、妻が高齢者施設へ入居するまでの間を配偶者居住権の期限と定めることも可能です。いずれにしても、あらかじめ取り決められた期限まで存続するということですから、取り決めがなければ、妻が転居したり、高齢者施設に入居したりしても配偶者居住権は消滅しません。その一方で、配偶者居住権は配偶者が住居を利用する権利ですから、売買することはできません。

【賃貸収入も入ります】
配偶者居住権は、住宅すべての部分で発生します。たとえば賃貸マンションを経営していた夫とともに、大家さんとして同マンションの最上階に住んでいた妻は、配偶者居住権を取得すると、賃貸マンション全体の居住権を取得したことになり、賃貸収入を得ることができます。
ただし、一人暮らしには広くなりすぎたからといって、一部を新たに賃貸しようとする場合は、マンションの所有権を相続した相続人の承諾を得る必要があります。

【注意 登記をしよう】
夫名義の住宅について、子供が所有権を、妻が配偶者居住権を相続した場合、妻は子供に対して配偶者居住権の登記をするように請求できます。もし配偶者居住権を登記せずにいた場合、子供が第三者に所有権を売却すると、トラブルになります。第三者が居住権が設定されていること知らずに購入した場合、その購入者には配偶者居住権を主張することができません。結局、住宅は購入者のものとなって、住み続けることができなくなってしまいます。登記さえしておけば、第三者に対しても権利を主張できるというわけです。


     
  • ⓒ小林弥生
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