2015.08.24
浄土真宗本願寺派(西本願寺)の寺院、龍王山信行寺は2015年4月、お墓の継承者がいなくても寺が継続的に供養を続ける永代納骨墓「無量寿廟(むりょうじゅびょう)」を建立しました。少子高齢化や核家族化を背景に「お墓を建てても面倒をみてくれる人がいない」という人が増えています。こうしたニーズに対応したお墓です。
西武池袋線と都営大江戸線「練馬駅」北口から練馬文化センター横の平成つつじ公園を通り抜け、区立南町小学校沿いに住宅街の道を進むと、コンクリートの打ちっ放しの現代風な造りの山門が出迎えます。
境内に入ると、シンボルツリーとなる大きなケヤキの木がそそり立っています。その先には、築地本願寺を模したインド仏教様式の鉄筋造りの本堂があります。エキゾチックな本堂の堂内には、極楽浄土を表すとされる内陣に本尊の阿弥陀如来像が安置されています。
本堂に向かって左手には客殿がありますが、こちらは日本風の木造の建物。客殿の入り口には生花が販売され、線香の着火台も用意されています。和と洋、新と旧が絶妙に調和したお寺の空間です。
墓所は本堂と客殿の裏手に広がっていますが、新設された無量寿廟は本堂に向かって右手にあります。石造りの立派な永代納骨墓。正面には「南無阿弥陀仏」と刻まれています。お墓の両翼に納骨された方の法名、もしくは俗名を彫刻した石版(プレート)を掲げる銘板が配置されています。
体が不自由な人でもお参りが楽になるように墓前正面には、緩やかな階段と手すり、スロープがあります。
納骨の方法は、お墓に対するニーズの多様化に対応して「合祀(ごうし)型」と、一部の遺骨を専用の骨壺に入れて納骨する「分骨型」の2種類を用意。「分骨型」は十七回忌で合祀にしますが、継続も可能になっています。
「合祀型」の永代冥加(みょうが)懇志は25万円、「分骨型」は納骨料込みで66万円となっており、石版に名前を刻印する場合は別途費用が必要となります。いずれも年間管理料を支払う必要はありません。このほか、夫婦2人で入れる「夫婦墓」もあります。在来仏教であれば、過去の宗旨・宗派は問いません。
信行寺は1920(大正9)年に東京・西巣鴨(現在の池袋)にあった池袋不動堂に信行寺出張所として開教したのが始まりのお寺で、1930(昭和5)年にこの地に移転。多くの檀家(だんか)を持ち、地元に親しまれています。植栽の手入れがよくされており、近隣に高い建物がないため明るく、その広さも手伝って開放感があり、日当たりも良好です。都内にありながら喧騒(けんそう)を忘れられる貴重な環境にあります。
お寺と仏教をより親しみやすいものに、また、心のよりどころとなる場所に、との考えから、季刊誌の発行や年間を通した仏教行事を行っているほか、毎月2のつく日(2日、12日、22日)には参加自由の法話会、年4回定期的に開催される寄席など地域に根ざした活動を行っています。
練馬駅からお寺に向かう途中にある平成つつじ公園はその名の通り、ツツジの咲く季節には色とりどりの美しい花を楽しめます。また、西武池袋線・都営大江戸線「豊島園駅」にも近く、お墓参りに合わせたアミューズメントやショッピング、食事など立ち寄り場所は豊富です。
(植田愛子)
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