2014.07.10
都営地下鉄大江戸線の「豊島園駅」から豊島園通りをはさんで目の前に「浄土宗田島山十一ケ寺」の門柱があります。十一ケ寺は、参道の両脇に11の寺が並んでいるところからきています。この11の寺のうち、門柱から数えて4つめが「受用院」(じゅよういん)です。1626(寛永3)年に開基しました。伝統と格式ある古刹は、交通の便のよさも魅力です。
受用院をはじめとする11の寺は、徳川家康に請われて小田原から神田に移ってきた田島山誓願寺の塔頭(たっちゅう)でした。明暦の大火(1657年)や関東大震災(1923年)で被災し、現在の場所に移転したそうです。明治維新の際に各寺は独立。本坊の誓願寺が多磨霊園正門近くに移転したことから、十一の寺とその墓苑だけが「十一ケ寺」となったそうです。
墓苑は参道奥の突き当たり、阿弥陀如来像が鎮座するその裏手に広がっています。高い建物がないせいか、都会にぽっかりと空いたエアポケットのような開放感があります。水場と休憩所を左手に折れ、2つめの区画が受用院の墓苑です。ここには、受用院を宿坊としていた蔵前の札差の青地家や江戸中期の篆刻家、池永道雲(いけなが・どううん)の墓所があります。
遊園地「としまえん」はすぐそば。絶叫マシンなどの遊戯施設はもちろん、夏はプール、冬は釣りが楽しめます。天然温泉つきの温浴施設もあり、食事処も多く、年配の方でもゆっくりできる施設も充実しています。
(石井健)