2016.06.14
JR山手線「日暮里駅」西口を降ります。目の前の階段を上がれば、もう墓地です。最寄り駅から車やバスを乗り継がなければたどり着けない新設の墓地に比べて交通至便なのが「都立谷中霊園」の第一の特徴でしょう。
この地は江戸時代からの寺町で、いまも霊園の周囲には大小の寺が軒を連ねています。1872年(明治5)年、当時の東京府が旧谷中天王寺の敷地の一部を官営化し、墓地とともに引き継いで2年後に「谷中墓地」として開設したのが始まりです。1935(昭和10)年には谷中霊園と改称され、現在に至ります。
園内には戦後に植えられた桜や楓などの古木が点在しており、緑豊かな印象です。ことに見事なのは中央園路に並ぶ約170本の桜並木。春先には桜のトンネルができます。さすがに宴会はダメですが、周囲と園内を隔てる柵や仕切りはなく、自由に通り抜けることができます。
約10万平方メートルの敷地内に6000人あまりが眠っています。渋沢栄一(実業家)、横山大観(日本画家)、鳩山一郎(元首相)、獅子文六(小説家)など幕末、明治以降の著名人の墓碑も多くあります。残念ながら1957(昭和32)年に放火によって消失してしまいましたが、霊園の中央には幸田露伴の小説で有名な「五重の塔」の跡地もあります。
2016年度の募集は、平面形式の墓地で区画割りして貸し付ける「一般埋蔵施設」が60カ所、地上の納骨堂で20年間、骨壺を個別管理し、それ以降は地下の納骨堂に共同合祀する「立体埋蔵施設」が110カ所。一般埋蔵施設の使用料は263万4000円(1.50平方メートル)から324万8600円(1.85平方メートル)と、23区内だけに他の施設より高めです。これに管理料が毎年1220円必要となります。立体埋蔵施設は一件につき3体まで埋葬可能で第4区が54万2000円、第5区内が66万2000円。こちらは管理料はかかりません。
都内に5年以上継続して居住している人で、申し込みをする遺骨の祭祀主催者であることが応募条件です。「基本は遺骨がお手元にある方。亡くなった方は都民でなくてもいいですが、申し込む方は都民でないといけません」と谷中霊園の舟越稔充(ふなこし・としみつ)管理事務所長。
それでも毎年高い人気で、2014年度実績では一般が12.9倍、立体も6.9倍の競争率でした。「『上京して所帯を持ったはいいが墓がない』『娘だけで跡継ぎがいない』などと相談にみえる団塊の世代の方が多い」(同)といいます。
周囲は下町情緒が残る谷中、根津、千駄木の通称「谷根千(やねせん)」エリア。墓参の帰りにレトロな雑貨屋や喫茶店をのぞくのも一興です。
(早坂礼子)
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とりつやなかれいえん
総額目安 263.4 万円~
区間名 | 面積 | 永代 使用料 |
墓石価格 | 総額 | 年間 管理費 |
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一般埋蔵施設 | 1.50 ㎡ | 263.4 万円 | 1,220 円 | ||
一般埋蔵施設 | 2.00 ㎡ | 351.2 万円 | 1,220 円 |
JR山手線 日暮里駅
電車で |
1:JR山手線「日暮里駅」から徒歩6分 2:東京メトロ千代田線「根津駅」から徒歩7分 |
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車で | |
その他 |
名称 | 都立谷中霊園 |
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運営区分 | 公営 |
募集条件 | 宗教不問 |
埋葬スタイル | 一般墓地、納骨堂 |
所在地 | 東京都台東区谷中7-5-24 |
敷地面積/総区画数 | 100,000㎡/7,000区画 |
開園年 | |
主な設備 | |
駐車場 | |
特色 |