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【お墓トレンドレビュー 散骨その5】無人島を散骨場とした海士町の試み

2016.10.21

カズラ島全景

 島根県隠岐諸島の中ノ島にある海士(あま)町は、いま地域活性化の成功事例として注目を浴びているまちです。人口約2300人のうち、Iターンで移住してきた人が250人もいます。この町の無人島に2008年、散骨場がオープンしました。

 設置のきっかけは、Iターンではなく、隠岐出身者のUターン願望の方でした。隠岐出身の東京の戸田葬祭場という葬儀社の役員が、隠岐出身者の郷土会に参加したときのこと。2000年ごろとかなり前の話ですが、参加者の多くが、死んだあとも隠岐に帰りたいという思いが強いことを知り、これがプロジェクト推進のきっかけとなったようです。

 その後、時間をかけてじっくりと住民と話し合い、07年に「カズラ」という海士町で散骨をする会社を住民とともに設立。無人島であるカズラ島を買い取り、08年にオープンにこぎ着けました。

実施は年に2回だけ

 散骨をするのは5月と9月の年2回だけ。現地は国立公園内の建築物や構造物が設置できない地域であるため、立ち入るのは散骨時だけとし、その後は対岸に設置した慰霊所からお参りするようになっています。

 海士町は漁業で生計をたてる人が多いため、海にはまかず、遺骨もパウダー状にし、回数も制限するなど、住民や環境に十分配慮して行われています。

 15年3月現在で77件の散骨がありますが、そのうち40件が関東地方の人だそうです。だいたい年間で10件前後の申し込みで推移しているようです。遺族が定期的に訪れることで、ささやかながら地域や観光の活性化にもつながり、地元にとってもメリットになると町も考えています。
 
 今後も陸地での散骨場は住民の反対が予想されるため、周囲にまったく人家がないよほど条件のよい場所でない限り、実施は難しそうです。その点、無人島なら周辺地域での住民の理解と協力が得られれば可能性はありそうです。もっとも、当面は陸での散骨より海での散骨が中心となっていくことは間違いないでしょう。

上野國光氏

         ◇
 上野國光(うえの・くにみつ) 1956年生まれ。大学を卒業後、電機メーカー勤務などを経て、88年にイオ株式会社を設立、石のギャラリーを中心とした業務を展開する。東京都内を中心に大規模墓地や納骨堂の開発、寺院の活性化のプログラム(寺報発行サポート、墓地管理業務)などの事業に携わっている。


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