2016.10.17
お墓参り代行とともに意外なニーズがあるのが、墓石クリーニングです。
前回紹介した「お墓参り代行」はおおむね墓石の水洗いをセットにしていますが、汚れがひどい場合はオプションとして本格的なクリーニングをするところが多くなっています。
お墓参り代行以外では石材店、葬儀業者のほか、花屋、便利屋、ハウスクリーニング会社、リフォーム会社、ビルメンテナンス会社など幅広い業種が参入しています。
その数は把握できませんが、石材店ではメモリアルアートの大野屋はもちろん、葬儀業者でもはせがわは参入済み。積極的に打ち出していなくても石材店で請け負っているところは少なくないと思われます。その意味では扱っているところは3けたどころではなく、4けたになっているかもしれません。
クリーニング代行のチェーンでは、ハウスクリーニングの「おそうじ本舗」が、ホームページに紹介はないものの、地域によって展開している店舗があります。
洗浄に関してはプロなので、機械や薬品はすでにあり、なくても調達・管理しやすく、参入はしやすいものと思われます。
ただ、クリーニング業者は清掃ができても、墓石の補修・リフォームまでは対応できない可能性が高く、墓石クリーニングをうたっている会社では「対応していない」と明記しているところもあります。
石材店にとって墓石クリーニングは、墓石の補修・リフォームのためのフロントエンド商品(集客商品)と位置づけられています。クリーニングをきっかけに老朽化し、ひびが入ったり、欠けたりしているお墓の補修やリフォームを促すなど、新規顧客獲得のメリットは大きいと考えられます。
また、お墓参り代行同様、墓石クリーニングの検索サイトも登場しています。
「まいるん」はお墓参り代行と混ざっていて、墓石クリーニングを明記してあるところしか分かりませんが、「墓石.com」(個人運営)には、「墓石/お墓クリーニング全国代行業者一覧」というコーナーがあり、200社超の業者が都道府県別に掲載されています。
内訳をみると、沖縄、徳島以外では、各県に数件の登録があり、全国にまんべんなく分布。東京や大阪、愛知などの大都市部は7~12件ほど登録されています。
ビジネスとしては、お墓参り代行はあまりノウハウがなくても個人でも副業的に参入しやすいのに比べ、クリーニングは高圧洗浄や薬品洗浄、コーティング処理など専門性が求められます。1回あたりの料金単価もお墓参り代行の2倍以上で、より事業性は高いと思われます。このため、墓石クリーニングでの独立開業を支援するサイトも多数あります。
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うえの・くにみつ 1956年生まれ。大学を卒業後、電機メーカー勤務などを経て、88年にイオ株式会社を設立、石のギャラリーを中心とした業務を展開する。東京都内を中心に大規模墓地や納骨堂の開発、寺院の活性化のプログラム(寺報発行サポート、墓地管理業務)などの事業に携わっている。