2016.11.24
「エンディングノートを書く」「葬儀について考える」「墓を購入する」「相続を考える」「終(つい)の棲家(すみか)を考える」・・・。終活といってもさまざまな項目がある。「仏壇」についてはどうだろうか。終活のなかでの比重は小さいかもしれないが、「供養」や「弔い」のうえでは大切な問題だ。終活と仏壇について考える。 (『終活読本ソナエ』2016年冬号より)
■一戸建ては51%が保有
ミニ仏壇や手元供養用品などを扱う「インブルームス」(静岡県)の2013年の調査によると、仏壇の保有率(2人以上で暮らす世帯)は39・2%だった。これを、住宅種類別で比較したデータによると、一戸建てでは半数以上の51・8%が仏壇を保有していたが、マンションなどの集合住宅では21・1%にとどまった。
持ち家に比べて、面積が制限されるマンションでは、仏壇を置く空間が確保できず、それが保有率の低下を招いていることは明らかだ。
一戸建てにしても、「仏間」という発想がないままに新築された物件が多いことも想像に難くない。
住宅事情の変化に加えて、家族の構成が変化していることも仏壇の保有率が下がる原因になっている。「家族でまだ亡くなった人がいない」「1人暮らしなので、自分の仏壇を持っても意味がない」といった人が増えているからだ。
仏壇には、故人や祖先を弔う場であると同時に、釈迦や家の宗派の祖師を祀る「宗教的な空間」という意味もあるのだが、現代社会ではそこまで宗教を意識する人も少なくなっている。
■子供の頃にはあった・・・66%
保有率に関しては、第一生命経済研究所の調べでもほぼ同じ数字がでている。2012年の調査(20歳以上を対象)では、仏壇が「ある」は46・7%。ただ、子供の頃に「あった」は66・2%となっており、保有率の低下が認められた。
とはいえ、09年の調査では「ある」が46・9%で12年の調査とほぼ同じ。仏壇離れがこの数年で一気に進んでいるというわけでもなさそうだ。
調査では、仏壇よりも神棚の保有率の低下のほうが顕著に進んでいるという結果も出ている。神棚は09年に37・0%だったものが、12年では29・3%に落ち込んでいた。
世代別にみると、年齢が高いほど仏壇保有率も高くなっており、70歳以上では7割の人が保有している。一方、20~39歳では3割弱にとどまっている。
ちなみに、神棚は70歳以上でも4割程度の保有しかなかった。
■市場規模は20年で半減
経済産業省の商業統計によると、国内で仏壇や仏具を扱う「宗教用具小売業」の年間商品販売額は、1994年には約3669億円あったものが、2007年には2557億円に、14年の速報値では1648億円にまで縮小している。20年間で、市場が半分にまで縮小したことになる。
ただ、住宅事情や価値観の変化、安価な輸入品が増えたことで、単価が下がっているという事実もある。新しく売れる仏壇が20年で半分に激減したということではない。
東京都内のある仏壇販売店は「バブルの余韻があった20年前に比べ、売上件数の落ち込みは2、3割程度で踏みとどまっています」と話している。
■身内が亡くなって初めて購入
マンションに関する意識調査をしている「マンション・ラボ(つなぐネットコミュニケーションズ)」による14年の調査で、仏壇がある人に購入した動機を尋ねたところ、6割以上が親族(肉親)の死去をきっかけにしていた。次いで多かったのは引っ越しや破損による買い替え。
つまり、終活の一環として生前に準備をしておくというよりも、身内の不幸により必要に迫られて購入している人が多いことが分かる。
しかも、「四十九日法要までには仏壇を用意したい」と考える人が少なくないことから、何の準備もしていなければ、約1カ月半という短期間で仏壇について調べ、購入しなければならないのだ。もちろんその間にも遺族は、葬儀や諸手続き、法要などを万事同時並行で進めていく必要がある。
終活の一環として、仏壇について考えたり、話し合っておくのは大切なことだといえるかもしれない。
「ソナエ」は、産経新聞社が運営する安心できるお墓探しサイトです。
ご希望のお墓の資料請求や見学予約をしていただけます。
詳細は安心のお墓探しとはをご覧ください。