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一条真也の供養論㊽ 現代葬儀の問題点

2022.07.01

 わたしの最新刊『論語と冠婚葬祭』(現代書林)が発売された。わが国における儒教研究の第一人者である中国哲学者で大阪大学名誉教授の加地伸行先生との対談本で、「儒教と日本人」というサブタイトルがついている。
 
 同書では結婚式や葬儀に親戚一統が集まるという家族(一族)主義がついこの間までの日本にあったことにも触れた。加地先生は、「お葬式のときは、遠くにいる親戚にも呼び掛けるべきです。私の友人の話では、親戚が亡くなったので遠い郷里のお葬式に帰ったら、葬儀の日に、初七日も四十九日も行うという。葬儀と同じ日に、です」と述べている。次に会うのが大変だからという理由だからだ。最近では、常識化しつつある。
 たしかに、葬儀と一緒に初七日、ともすれば四十九日の法要も済ませるのが一般的になった。本来、「初七日」とは命日を含めて7日目の法要であり、以後、7日ごとに法要が営まれ、命日から数えて49日目に「四十九日」の法要が営まれていた。
 なぜ、7日ごとに法要が営まれたのか。それは、亡くなった人に対して閻魔大王をはじめとする十王からの裁きが下され、49日目に死後に生まれ変わる先が決められるという信仰があったからである。故人が地獄、餓鬼、畜生、修羅などの世界に堕ちることなく、極楽浄土に行けることを祈って法要が行われた。「四十九日」の法要までが忌中で、神社への参拝や慶事への出席などは遠慮する習わしである。しかし、現代社会では親類も遠くに住んでおり、仕事などの都合もあって、7日ごとに法要するのが困難になってきた。49日目に再度集まるのもたしかに大変だ。
 葬儀の日に「四十九日」の法要まで済ませてしまうというのは、合理的な考え方かもしれない。でも、それは、伝統的に信じられてきた閻魔大王たちによる裁きのスケジュールを人間の都合に合わせてしまうことでもあり、じつは仏教の教義から言えば、トンデモないことではないだろうか。

 それこそ実際の裁判での被告が、裁判長に対して「自分は忙しいので、一審、二審、三審を同じ日にやってくれませんか」と要求するのと同じである。こんな無法がまかり通っている時点で、すでに日本の仏教は破綻しているとの見方もあるようだ。
 加地先生は、「そんなご都合主義はだめです。面倒でも一周忌にお呼びする、三回忌にお呼びする、そういう努力があってこそ親戚が仲良くなっていく。家族といった繋がりが消えてしまったら、これからの日本はどうなるのか。おそらく、単なる利己主義集団となってゆくことでしょう」と述べる。
 現代日本における葬儀の問題点として、日本人全体がよく考えるべきであろう。


いちじょう・しんや
 1963年生まれ。福岡県出身。早稲田大学政治経済学部卒。本名は佐久間大手冠婚葬祭会社サンレー社長。『老福論』『葬式は必要!』『愛する人を亡くした人へ』『命には続きがある』『儀式論』など著書は100冊以上。2012年、『論語』の精神の普及により、第2回「孔子文化賞」を受賞。2018年、上智大学グリーフケア研究所客員教授に就任。


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  • 一条真也さん

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