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一条真也の供養論㊺ 11年目の3・11

2022.04.01

 3月16日の23時36分頃、福島県沖で震度6強の地震が発生した。
 地震といえば、3月11日、あの東日本大震災の発生から11年目を迎えた。その日、わたしは、東京・四谷にある上智大学のキャンパスに向かった。ここの6号館で開かれる「実践宗教学研究科シンポジウム」に参加するためであった。
 このシンポジウムでは、日本の宗教学をリードしてこられた島薗進先生、鎌田東二先生、伊藤高章先生の3人が上智大教授を退任されるにあたっての最終講義が行われた。島薗先生はわがグリーフケアの師であり、鎌田先生は魂の義兄弟であり、伊藤先生は全互協グリーフケアPTで発足させた「グリーフケア資格認定制度」の創設と運営にひとかたならぬご尽力をいただいている。お三方とも大変お世話になっている方々ばかりなので、「いざ、四谷!」と出張先の長崎から博多を経て駆け付けた。
 
 トップバッターは伊藤先生で、「強者へのケアはあり得るか?」という問題提起をされた。それを聞いたわたしは「いま、世界中で最もケアが必要なのはプーチン大統領ではないか」と思った。また、伊藤先生の「悲嘆とは失ったものの大きさの裏返しです。悲嘆を抱えないための唯一の方法は、誰も愛さないことです」との発言が心に残った。
 次に、島薗先生が「愛」「仁」「慈悲」「絆」「和」などポジティブな人と人との関わりについての鍵概念は「ケア」と関わりがあると発言され、非常に印象的だった。ということは、「ケア」はイエスや孔子やブッダの思想にも通じ、キリスト教や儒教や仏教の教えをも貫くことになる。これはもう、人類の普遍思想ではないか!

 最後の鎌田先生の登壇時間は14時45分からで、まさに東日本大震災の発生時間の頃であった。冒頭、鎌田先生は聴講者一同に黙祷を呼びかけられた。当然ながら東日本大震災犠牲者への追悼の黙祷かと思ったが、鎌田先生は「ウクライナ、コロナ、東日本大震災をはじめとした自然災害で命を落とされたすべての方々のために」と言われた。わたしは静かな感動をおぼえるとともに、「鎌田先生らしいなあ」と思った。
 そう、黙祷とは、ある災害や戦争や事件や事故などの発生時間に行うものだが、それはその災害・戦争・事件・事故の犠牲者だけでなく、すべての死者を想う行為なのだ。すなわち、供養こそ平和なのである。鎌田先生は儀式についても語られ、「リアルからいったん離れて、あえてフィクションの世界に身を投じる」ことが儀式の本質であると指摘された。
 つねづね葬儀について考え続けているわたしも、これには膝を打った。そう、儀式という営みは物語の世界なのである。東日本大震災から11年目の「3・11」は大いなる学びの日であった。

いちじょう・しんや
 1963年生まれ。福岡県出身。早稲田大学政治経済学部卒。本名は佐久間大手冠婚葬祭会社サンレー社長。『老福論』『葬式は必要!』『愛する人を亡くした人へ』『命には続きがある』『儀式論』など著書は100冊以上。2012年、『論語』の精神の普及により、第2回「孔子文化賞」を受賞。2018年、上智大学グリーフケア研究所客員教授に就任。


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  • 一条真也さん

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