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一条真也の供養論㉝ 遺体を前に葬儀をあげられる幸せ

2021.04.01

 2011年3月11日は、日本人にとって決して忘れることのできない日になった。
 三陸沖の海底で起こった巨大な地震は、信じられないほどの高さの大津波を引き起こし、東北から関東にかけての太平洋岸の海沿いの街や村々に壊滅的な被害をもたらした。

 2021年3月11日の東日本大震災発生10年を前に、宮城県東松島市で見つかった遺体の身元が、震災で行方不明となっていた61歳の女性と判明した。警察によれば、2月17日に、東松島市野蒜(のびる)にある会社の敷地内で、白骨化した遺体を発見。警察が、歯形やDNA鑑定で身元の確認作業を進めたところ、東日本大震災で被災し行方が分からないままになっていた東松島市野蒜の奥山夏子さん(当時61歳)と判明。宮城県警のまとめでは、県内ではいまも1215人の行方が分からないままだという。心が痛む。
 東日本大震災における遺体確認は困難を極めた。津波によって遺体が流されたことも大きな原因の一つで、同じ震災でも、阪神淡路大震災のときとは事情が違っていた。これまでの日本の災害や人災の歴史を見ても、東日本大震災を「史上最悪の埋葬環境」と言った葬祭業者も多かった。
 
 そんな劣悪な環境の中で、日夜、必死に頑張っておられたのが自衛隊の方々だった。今回の震災において、自衛隊は多くの遺体搬送を担った。「統合任務部隊」として、最大で200人もの隊員が「おくりびと」となったのである。遺体搬送は、自衛隊の災害派遣では初めての任務で、整列、敬礼、6人で棺を運ぶという手順を現場で決められたという。
 本来は人命を守るはずの自衛隊員が遺体の前で整列し、丁寧に敬礼をする姿には多くの人が感銘を受けた。わたしも同様に感動した。そこには、亡くなった方に敬意を表するという「人間尊重」の姿があったからだ。そして、埋葬という行為がいかに「人間の尊厳」に直結しているかを痛感した。

 東日本大震災では、これまでの災害にはなかった光景が見られた。それは、遺体が発見されたとき、遺族が一同に「ありがとうございました」と感謝の言葉を述べ、何度も深々と礼をされていたことだ。
 従来の遺体発見時においては、遺族はただ泣き崩れることがほとんどだった。しかし、東日本大震災は、遺体を見つけてもらうことがどんなに有難いことかを遺族が思い知った初めての天災だったように思える。遺体を前に葬儀をあげることができるのは、じつは幸せなことなのである。


 いちじょう・しんや
 1963年生まれ。福岡県出身。早稲田大学政治経済学部卒。大手冠婚葬祭会社サンレー社長。『老福論』『葬式は必要!』『愛する人を亡くした人へ』『命には続きがある』『儀式論』など著書は100冊以上。2012年、『論語』の精神の普及により、第2回「孔子文化賞」を受賞。上智大学グリーフケア研究所客員教授。
 


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  • 一条真也さん

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