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一条真也の供養論㉖ 人間を幸せにする2本の糸

2020.09.01

 8月21日に公開された日本映画「糸」を観ました。本来なら本年4月に公開予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、この日にようやく封切りを迎えた作品です。ありていに言って、ものすごく良い作品でした。全編通して、わたしは4回泣きました。結婚式のシーンも、葬儀のシーンも両方あるのですが、どちらも感動的で、素晴らしい冠婚葬祭映画でした。

 この映画のもとになった中島みゆきさんの名曲「糸」には、「縦の糸はあなた 横の糸はわたし」という歌詞が登場します。結ばれる男女を縦横の糸に例えているわけですが、わたしはよく縦の糸を「先祖」、横の糸を「隣人」に例えます。
 現代人はさまざまなストレスで不安な心を抱えて生きています。ちょうど、空中に漂う凧のようなものです。凧が安定して空に浮かぶためには糸が必要です。さらに安定して空に浮かぶためには縦糸と横糸が必要です。
 縦糸とは時間軸で自分を支えてくれるもの、すなわち「先祖」であり、「血縁」です。映画「糸」では、沖縄の人々が先祖の墓の前で宴会を行い、カチャーシーを舞うシーンがありました。また、横糸とは空間軸から支えてくれる「隣人」であり、「地縁」です。映画に登場する北海道の子ども食堂はまさに隣人愛の場所でした。縦糸と横糸の2本の糸があれば、つまり血縁と地縁があれば、安定して宙に漂っていられる、すなわち心安らかに生きていられる。これこそ、人間にとっての真の「幸福」の正体ではないかと思います。

 中島みゆきさんの解釈にせよ、わたしの解釈にせよ、「糸」というのは「縁」のメタファーであることは同じ。すべての物事や現象はバラバラであるのではなく、緻密な関わり合いをしています。この緻密な関わり合いを「縁」と言うのです。「縁」の不思議さ、大切さを誰よりも説いたのが、かのブッダです。
 
 ブッダは生涯にわたって「苦」について考えました。そして行き着いたのが、「縁起の法」です。縁起とは「すべてのものは依存しあっている。しかもその関係はうつろいゆく」というものです。わたしたちはあらゆるものと関わり合っています。つまり、「縁」によって結ばれているのです。そもそも、社会とは縁ある者どものネットワークであり、すなわち「有縁」です。「無縁社会」という言葉がありますが、これは言葉としておかしいのです。なぜなら、社会とは最初から「有縁」だからです。わたしたちが生きているこの世界では、最初から「無縁社会」などありえないのです。


いちじょう・しんや
 1963年生まれ。福岡県出身。早稲田大学政治経済学部卒。大手冠婚葬祭会社サンレー社長。『老福論』『葬式は必要!』『愛する人を亡くした人へ』『命には続きがある』『儀式論』など著書は100冊以上。2012年、『論語』の精神の普及により、第2回「孔子文化賞」を受賞。上智大学グリーフケア研究所客員教授。


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  • 一条真也さん

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