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一条真也の供養論㉕  なぜ人間は死者を想うのか

2020.08.03

 夏になっても新型コロナウイルスの猛威は衰えを見せませんが、そんなコロナ禍の中で、先月19日に「産経新聞」から「コロナ『自粛』で祈り、供養の機会『増えた』 日本香堂調査『大切な故人、心の拠りどころに』」というネット記事が配信されました。
 記事には、「新型コロナウイルスの感染拡大防止で続いた自粛期間中、親族など身近な故人への祈り、願いごとをする人が増えていることが『日本香堂』の調査で明らかになった。同社は『<社会的距離>を埋め合わすかのように、<心の距離>が緊密化しているのではないか』とみている」と書かれています。わたしの最新刊『心ゆたかな社会』(現代書林)では、「コロナからココロへ」として、「新型コロナが終息した社会は、人と人が温もりを感じる世界」であると訴えましたが、すでにコロナ禍の中で「ココロへ」が進行しているというのです!

 調査は自粛による意識や行動の変化を問うもので、6月23、24日に実施。全国の成人男女1036人に回答を得たそうですが、「3密」や「ステイホーム」などに関する質問への回答の他、「コロナ前」と比べて、祈り、供養の習慣に変化があったかについて質問しています。その回答は「前と変わらない」が7割強を占めましたが、24・3%が「ゆかりの深い故人への祈りや願いなど心の中で語りかける機会が増えた」と回答しました。
 約15%が仏壇、位牌、遺影に手を合わせたり、花や線香を供えたりする機会が「増えた」とし、いずれも「減った」を大きく上回ったといいます。
 最後に、記事は「祈りや供養の機会が増えたと答えた人の約8割は『今後も維持・継続したい』としており、コロナ禍で先祖との『絆』を求める指向が高まっていることも明らかになった。日本香堂は『未曽有の経験に揺れ動いた心の拠りどころとして、大切な故人に見守られているような、安らぎのひとときという実感を強めているのではないか』と分析している」と結んでいます。
 拙著『唯葬論』(サンガ文庫)で、わたしは、「なぜ人間は死者を想うのか」という問いを立て、人間に「礼欲」という本能がある可能性を指摘しました。わたしは、祈りや供養や儀式を行うことは人類の本能だと考えています。
 この本能がなければ、人類は膨大なストレスを抱えて「こころ」を壊し、自死の連鎖によって、とうの昔に滅亡していたのではないでしょうか。それにしても、こんな時期に意義のある調査を実施された日本香堂さんに敬意を表します。

いちじょう・しんや
 1963年生まれ。福岡県出身。早稲田大学政治経済学部卒。大手冠婚葬祭会社サンレー社長。『老福論』『葬式は必要!』『愛する人を亡くした人へ』『命には続きがある』『儀式論』など著書は100冊以上。2012年、『論語』の精神の普及により、第2回「孔子文化賞」を受賞。上智大学グリーフケア研究所客員教授。


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  • 一条真也さん

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