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一条真也の供養論⑱ 文化の根底にある死者への想い

2020.01.01

 あけまして、おめでとうございます。
 わたしにとって正月の行事といえば、初詣に初釜です。

 初釜とは、新年に行われる茶道のお茶会です。じつは、わが社の会長である父は茶道家でもあるのですが、流派は小笠原家茶道古流です。茶道の流派といえば、千利休から始まる表千家、裏千家、武者小路千家が三千家として有名ですが、小笠原家茶道古流は、わび茶の開祖と称される村田珠光の弟子である古市胤栄、古市澄胤兄弟に始まる茶道古市家の流れをくむ、千利休以前に成立した流派です。古市家の後裔が江戸時代、小笠原総領家(小倉藩主)の茶道頭をつとめたため、小笠原家茶道古流の祖として名があげられます。

 小倉に本社を置くわが社では、茶道の精神を体現できる「お茶のある人」になるため、多くの社員が稽古に励んでいます。拓殖大学の呉善花教授によれば、1回の茶道の稽古は、現在多くの企業で行われている研修10回分に相当するといいます。一般的な通り一遍の社員研修とは違い、茶道は、おもてなしの修行、礼儀作法の修行、人間の修行なのです。茶道は茶室という狭い空間での主客のふるまいが中心になっていますが、そうした息づかいまで聞こえるような距離でお互いが接し合うことで、感覚が研ぎ澄まされ、相手が何を求めているかを自然に察知できる感性が身についてくるのです。

 拙著『決定版 おもてなし入門』(実業之日本社)にも書きましたが、茶道は日本人の「おもてなし」における核心です。茶で「もてなす」とは何でしょうか。それは、最高のおいしいお茶を提供し、最高の礼儀をつくして相手を尊重し、心から最高の敬意を表することに尽きます。そして、そこに「一期一会」という究極の人間関係が浮かび上がってきます。人との出会いを一生に一度のものと思い、相手に対し最善を尽くしながら茶を点てることを「一期一会」と最初に呼んだのは、利休の弟子である山上宗二です。「一期一会」は、利休が生み出した「和敬清寂」の精神とともに、日本が世界に誇るべきハートフル・フィロソフィーであると言えるでしょう。
 
 茶の湯は戦国時代に大きく発展し、今日に続く姿になりました。かつて戦国の世に、武将たちは僧侶とともに茶の湯と立花の専門家を戦場に連れていきました。戦の後、死者を弔う卒塔婆が立ち、また茶や花がたてられました。茶も花も、戦場で命を落とした死者たちの魂を慰め、生き残った者たちの荒んだ心を癒やしたのです。今でも、仏壇に茶と花を手向けるのはその名残です。わたしは、すべての文化の根底には「死者への想い」があると考えていますが、そうした背景を考えたとき、まさに茶道や華道といった日本文化がその代表であると言えるでしょう。


いちじょう・しんや
 1963年生まれ。福岡県出身。早稲田大学政治経済学部卒。大手冠婚葬祭会社サンレー社長。『老福論』『葬式は必要!』『愛する人を亡くした人へ』『命には続きがある』『儀式論』など著書は90冊以上。2012年、『論語』の精神の普及により、第2回「孔子文化賞」を受賞。上智大学グリーフケア研究所客員教授。


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