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【津川雅彦 朝丘雪路 合同葬お別れの会】奥田瑛二さん弔辞全文 「訃報聞いて携帯に電話かけた」

2018.11.21

弔辞を読む奥田瑛二さん

 津川さんの訃報を聞きまして、もう100日以上になります。そのとき茫然としまして、じゃあ、どうやって連絡したらいいだろう。連絡しても多分連絡は取れないだろう。(そう思いながらも、)いや、死んではいない(との思いが浮かび)、それなら携帯に電話をしようと、津川さんの携帯に電話をしたら、通じまして、「何? 亡くなってないんだ」という思いが一瞬頭をよぎりました。
 そうしたら「もしもし」という真由ちゃんの声が聞こえました。「あちゃー。やっぱりそうか」。真由ちゃんに何を言ったか僕も覚えていませんが、そのとき5分くらい経ったら、もうたまらなくなって、涙が出そうになり、「ごめん、泣きそうだから電話を切るね」と言って電話を切りました。
 そしてまだ茫然としているなか、「いやあ、この目で確かめない限りは(津川さんの死を)認めない」と自分に言い聞かせました。以来、私は1滴の涙も流しておりません。
 四十九日が過ぎたら、よし泣くぞと思ったのですが…。それは泣きたくない、ということ。つまり津川さんの人生、毎日がお祭りであり、そして前向きにどんどんどんどんリーダーシップをとって進んでいかれたからでしょう。
 私は40年にわたりおつきあいをさせていただいております。40年の間にはいろいろなことがあり過ぎました。楽しいこと、けんかもしました。大げんか、それもゴルフ場でです。それも芸術論です。
 僕は芸術至上主義者だと叫んで言いましたら、津川さんは目をきりっと見開いて「なんだお前は! え? 芸術至上主義!? 冗談じゃねえ。芸術至上主義なんてくそ喰らえだ! 青二才!」と言ったのをいまだに覚えています。
 僕は悔し涙を流しました。それに追い打ちをかけるように、「あのな、奥田。俳優というものはだな、映画もそうだ、すべてわれわれがしているのはエンターテインメント。いかに人を喜ばせ、楽しくさせるか。芸術を語るやつにはそんなことはできない!」
 そういう風に言われて、僕は逃げ出して隅で泣いていました。ゴルフ場ですよ。
 僕はハーフだけ回って、三島から新幹線に乗って帰りました。夜汽車に揺られながら窓に映る自分の顔。情けないったらありゃしない。
 以来私はゴルフをやっておりません。ゴルフなんて死んでもやるものか、と思っております。津川さんには何十回も誘われました。「謝るからさあ、奥田。ゴルフやってくれよ」。手をつかれて「やろう」と言われてもやりませんでした。いったんこうと決めたら、どうしても納得できない私の性格を知っていたにもかかわらず、津川さんは誘ってくださった。
 いずれ楽しくしたいなと思っておりましたが、それもできなくなって…。私は津川さんと10歳違いですが、僕は98歳で死ぬのを決めておりますので、30年後にゴルフをしましょう。と言いながらも、あなたが亡くなったのを認めておりません。
 以前、津川さんが「奥田。あのな、おまえはどういう人生観をもっているんだ」と聞かれたときに、僕は何も言えませんでした。すると津川さんは「この世はワンダーだ。不思議。それがフルなんだよ。それはなワンダーフル。ワンダフルなんだ。おれはそういう気持ちで役者もやっているし、生きることをワンダフル、ワンダーフルでやるからな」と。
 ワンダフルは辞書で調べますと「すばらしい」ということ。それで、「不思議」「おとぎ」がフルである。そういう人生が最高だ、と。
 「で、ひとつ劇団をつくる。『ワンダフル一座』。つくるからな。それをつくってみんなを喜ばそう!」。そして僕も座員の一人としてかかわり、楽しい舞台を過ごした覚えがあります。
 津川さんはやり残したことがいくつかありますね。それを残されたわれわれや後輩たちに伝わったのか伝わっていないのか、それをうかがうことはできませんでしたが、でも、やりたいことがいくつかあったのは知っております。ですから、できうるかぎり、それを受けて微力ながら私も精進していきたいと思っております。
 来月、クリスマスですね。津川さんはみんなのサンタさんです。そしてグランパパです。みんなのおじいちゃん、先輩。そう思っております。ですから私はお別れ会というよりも、津川さんの顔を自分の心に焼きつけて、これからを過ごしていきたいと思っております。
 その顔を見ておりますと、「奥田、生意気言うんじゃないよ」と言われそうですが、微力ながらやっていきます。
 朝丘さん、そうやってお二人がツーショットでいるのは珍しいですね。何かお話をなさいましたか。え?「雅彦ちゃんが何も言うことを聞いてくれない」? いやいや、津川さんはまだ迷っているかもしれない。というよりも、三途の川を渡りたくない、まだ見ていたい、という気持ちでいらっしゃるのかもしれません。そのうちみんなで、もう心配しなくてもいいから、朝丘さんのもと、そして盟友である緒形拳さんのもと、先輩である三國連太郎さんのもと、数多いらっしゃる仲間たちののところにお返ししますから、しばらくは私の心に生かさせておいてください。
 では、津川さん、またお会いする日まで。


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