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樹木希林 供養を語る(上)見えない世界を想定すると、欲から離れられる

2018.09.16

樹木希林さん(仏教タイムス提供)

(2016年10月に掲載した記事の再掲です)

 8月のお盆の頃になると、東京の道路は横になってもひかれることはないな、というぐらいガラガラなのね。いつもは渋滞のところでもお盆の時期は違う。それだけたくさんの人が田舎に帰省しているから、東京はこの季節は静か。お盆と言えば、思いつくのはそんなことかしら。
 
 終戦後、東京はまったくの焼け野原でしたから、お盆を行うという感覚はなかったですね。その日食べることが大変で、それどころじゃあない。先祖のことを思うようになったのは、ある程度、生活のゆとりができてからだったと思います。
 
 私の親たちは雑司が谷に土地を借りて小さな家を建てました。私の記憶では、間口が狭くて奥行きの長い2階建て。父親は琵琶を弾くだけだから母親が大工さんに頼んでね。池袋一帯、目白一帯を見渡すと、正面に富士山がくっきり見えた。木造2階建てはうちと西武デパートだけだったのね。それぐらい何もなかった。あとは近くのお墓かな。

 そこの雑司が谷小学校に6年通いました。お盆じゃないけれど、小学校1年にあがる頃には鬼子母神のお会式があると境内に夜店がずらーと並ぶじゃない。その中に見せ物小屋があった。すると「親の因果が子に報い、こんな姿になりました…」って拡声器でいう。すぐ近所だったからよく聞こえるわけ。耳タコになっていますね。

 お盆の由来とされる目連尊者のお話は女学校で聞きました。西本願寺系の千代田女学園でしたから。お釈迦さまのお誕生を祝う花まつり、成道会、涅槃会とかの節目節目の行事で学校は成り立っていて、日本の四季とも重なっています。「有り難い」が「ありがとう」となるように、仏教の言葉が日本の日常の言葉になっていますよね。そんなことも授業で学びました。

 その頃の思い出と言えば、学校にガラスケースの掲示板があって、今月の言葉というのがあるでしょう。こう見えても字がうまかったから、先生が選んだ言葉をいつも書いていましたね。どんな言葉を書いたかは全部忘れちゃいましたけどね。

 30歳を過ぎてから古いものが良いなと思い始めた。ある時、古道具屋をのぞくと提灯がいっぱい並んでいたことがあった。それが凄いきれいでね。「どうしてこの提灯は、こんなに安いんですか」と聞いたら、「普通の家に下げる提灯ではなくて、お盆用の提灯だから」と言うのね。ふと、世の中はそういうことをしなくなったのかなと。先祖に思いを寄せるというのがなくなっているんだなという感じを受けました。 

 欲というのは、人間である以上、誰にでもあるのね。でもそれが、自分のいのちというものが、向こう側に行くんだと想定できるようになると、このオモテに現れている現実の欲というのは、だんだんいらなくなってくる。物欲、金銭欲、出世欲、名誉欲だとか。目に見えない世界を想定することによって、そういう欲からすっと離れるというか…。お盆をきっかけに、向こう側(彼岸)に行った人と、こっち側(此岸)にいる自分はまったく無縁ではなくて、自分もいつかは向こうに行くんだと思えるようになるといいわね。此岸から彼岸に行くと考えると、欲というものは案外つまんないものよ。

(宗教業界紙 仏教タイムスから)

きき・きりん/昭和18年(1943)1月生まれ。女優。テレビドラマや映画、CMなどで活躍。井上靖原作の映画『わが母の記』では第36回日本アカデミー賞主演女優賞を受賞。映画『奇跡』と『あん』では孫娘の内田伽羅さんと共演した。団地に住む母親と子どもたちの日常を描いた是枝裕和監督作品『海よりもまだ深く』に出演(主演は阿部寛)。第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品され、話題となる。


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