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【時天空葬儀】東京農業大学相撲部監督・安井和男さん弔辞(抜粋)

2017.02.07

 モンゴル農業大学30周年のときに、式典に参加した東京農大の学長が「モンゴルにも強い子がいるんだよ。留学させてみないかい」という言葉をいただき、「安井くん、どんな子がいるのか見てきてくれないか」ということで、私と学生がモンゴルに派遣されました。

 そこで、当時は鉛筆のようにやせた小さい体、背だけの高いフチットバータル(時天空のモンゴル名)くんと初めて会いました。「細い子だな」とは思いましたけれど、相撲のイロハを教えているあいだに、遊びで学生と組み合ったフチットバータルくんの内掛けがみごとにかかりました。

 私は「あれっ」と思い、当時は私も相撲が取れましたので、「ちょっとやってみろ」と言ってやらせたら、すごい足腰の内掛けがきて、私もひっくり返りました。掛かった足よりもしっかりと大地を踏ん張った足から伝わってくる力を感じ、「この子はいけるな」と思い、留学の手続きを進めてまいりました。

 東京農大に合格し、持ち前の明るさと、何にでも挑戦するという姿勢で学生相撲に挑み、そして学生相撲でもめざましい成長を遂げてくれました。国際大会でも数々の成績を残し、相撲に自信をつけたのかと思います。それまでは「モンゴルに帰り先生になりたい」と言っていたフチットバータルくんが、「力士になって頑張りたい」と相談にまいりました。

 そのときの一途な目に大きな決心というものを感じ、われわれの大先輩である当時の時津風親方、内田勝男先輩に相談し、2002年の名古屋には時天空として初土俵を踏むことができました。

 入門後も序の口、序二段、三段目で連続優勝。その後も大活躍をし、常に時天空関は私の期待以上の頑張りを見せてくれました。活躍の陰には苦しいこともあったと思いますが、持ち前のチャレンジ精神でドンドンと成長していくフチットバータルくんの姿を見て、われわれは本当にうれしく、われわれの夢をかなえてくれたという感謝の気持ちでいっぱいでした。

 大相撲界でも数々の足跡を残し頑張ってくれた時天空関と、このようなかたちでお別れになるとは夢にも考えておりませんでした。あのやさしい笑顔でわれわれの心を照らしてくれたこと、下積みで一生懸命頑張ってくれたこと、それをけっして忘れず、後輩たちにも伝えていきたいと思います。

 遺されたご家族の方は私の何倍も悲しいことだと思います。しかし、遺された家族のみなさまが一日も早く悲しみを乗り越え、元気な姿を取り戻してもらいたいというのがフチットバータルくんの願いだと思っております。

 われわれも時天空関に何もできなかったと悲しい気持ちでございますが、これからもご家族のみなさんが元気に戻るようお手伝いしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 病気や病気の苦しみ、不安から解き放たれ、安らかなお顔でお休みになっております。どうか、本当に安らかにお休みください。そして時天空関、本当にありがとうございました。

           

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